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医療系学部を志す受験生へ

この度、地元医療系大学放射線学科の一般公募制推薦入試を受験した高3生が、見事に合格を勝ち取ってくれました。

受験科目は小論文と英語の2科目で、わずか一カ月弱という短い指導期間でしたが、彼の指導を通じて改めて感じた、医療系学部を志す受験生にはぜひ備えてもらいたい「資質」について書きたいと思います。

私事ですが、私はこの8月に母を亡くしました。
母はとある指定難病にかかっており、闘病生活は10年近く続きました。
病の原因が特定されておらず、よって根本的な治療法が存在せず、長く続く決して好転することのない状況に家族一同滅入ることが多かったのですが、その際大変救いになってくれたのが、母の入院した病院の看護師の皆さんでした。

私の子どもが現在小学3年生なのですが、息子のここ数年間を見てきて、
この社会における3つの職業、
 ・幼稚園の先生
 ・小学校1~2年の担任の先生
そして、
 ・看護師
が社会で果たす役割の大きさを改めて痛感しています。

これらの職業の共通点は、それぞれの職業における専門知識や技能が必要であることはもちろん、接する「顧客」がそれぞれとても「繊細」であることがあります。

幼稚園の先生たちには、先生の言うことを聞かずに勝手に立ち歩いたり、おしっこうんこをもらしたり、(大人から見ると)少しのことでギャン泣きしたりというカオスな状況で、子どもたちに臨機応変に対応する力量が求められます。

小学校1~2年になると、いじめや不登校といった問題が表れ始めます。
幸い私の息子の担任の先生は力量のある方なので、そのような問題には直面していませんが、力量不足の先生が担任するクラスが学級崩壊状態に陥るケースがあることは言うまでもありません。

看護師の場合は、言うまでもなく患者のほとんどが身体のどこかに問題を抱えており、精神的にも辛い状況に置かれているケースが多いと思います。
同時に支える家族も、同様に落ち込んでいたり、神経が昂っている場合さえあります。

そして、「親」や「家族」との距離が近いのも3つの職業の特徴です。

私の小学校でも「モンスター化」した親がいるらしいことは妻から聞きますし、母の見舞いに行った際に、入院患者さんのご家族が「モンスター」に変身し、看護師に無理難題を要求している場面に遭遇したことがあります。
親御さんやご家族の希望に応えることはなかなか大変だと思います。

そう考えると、私は現在、教室で中学受験生と大学受験生を指導していますが、
彼らは「タフ」で分別もあるし、
親御さんとの距離も近いわけでなく、(ゴーズの仕組みとして、講師と親御さんが「管理者」を挟んで情報交換をするため)
「幼稚園の先生」、「小学校1~2年の担任の先生」そして「看護師」の皆さんのお仕事にはただただ頭が下がります。

私自身、母の見舞いに行き、少し落ち込んで病院を出ようとする折に、私に気づいた看護師の皆さんに声をかけていただき、何気ない話しかしないのですが、「よし、またがんばろう」と前向きな気持ちになれたことが何度もあります。

私は、これら3つの職業は「究極のサービス業」だと考えています。
それぞれの専門知識や技能はもちろんのこと、「顧客」「親」や「家族」ともコミュニケーションする能力が求められます。

「親」や「家族」がアプローチしてくるときは、それは子どもや患者に問題があると認識しているからこそアプローチしてくるケースが多くあります。
その際、「いろいろ不満を抱いていたけれど、やっぱりこの人に任せてみよう」と思わせるだけの力量と、自分の考えを相手に伝えるコミュニケーション能力が必要になります。

その点、今回指導した高3生は、このコミュニケーション能力の資質が十分すぎるぐらいにある生徒でした。
必ずや立派な医療人になれるだろうと確信できる生徒でした。

「究極のサービス業」に求められる資質は、「教師」にとっても必要な能力だと思います。
私自身まだまだですが、今回合格した高3生の器の大きさを参考にしていきたいと思います。

 

執筆者:山岸